このページでは、RubyのアプリケーションからMackerelにトレースを送信する方法を解説します。
概要
MackerelはOpenTelemetryの仕組み(計装)を利用してトレースを取得します。Ruby on RailsやActiveRecordなど、主要なフレームワークやライブラリ向けに提供された計装ライブラリを使用することで、既存の実装を大きく変更せずにトレースを送信できます。
RubyにはいくつかのWebフレームワークが存在しますが、このページではRuby on Railsへの導入方法を説明します。
📝 補足
提供されている計装ライブラリはレジストリで検索できます。お使いのフレームワークやアプリケーション向けの計装ライブラリが存在しない場合は、独自に計装することもできます。詳しくはOpenTelemetry公式ドキュメントのRubyの計装ページをご確認ください。
動作要件
RubyにおけるOpenTelemetryの動作要件として、以下がインストールされている必要があります。
- 下記のいずれか
- CRuby3.1以上
- JRuby9.3.2.0以上
- TruffleRuby22.1以上
- Bundler
導入方法
アプリケーションからMackerelへトレースを送信するために、以下をおこないます。
- Gemの追加
- initializersでの初期設定
- エラーの捕捉(任意)
1. Gemの追加
以下のGemを使用すると、Ruby on RailsへのリクエストやDBへのクエリなどが自動で計装されます。
gem 'opentelemetry-sdk' gem 'opentelemetry-exporter-otlp' gem 'opentelemetry-instrumentation-all'
また、opentelemetry-instrumentation-allは多くのGemを内包しているため、下のように個別のGemだけを利用することもできます。
gem 'opentelemetry-instrumentation-active_support' gem 'opentelemetry-instrumentation-active_record' gem 'opentelemetry-instrumentation-rack' gem 'opentelemetry-instrumentation-rails'
2. initializersでの初期設定
initializerでトレースを送信するための設定をおこないます。以下の内容をconfig/initializers/opentelemetry.rbとして配置し、アプリケーションを起動するとトレースが送信されます。
require 'socket' require 'opentelemetry/sdk' require 'opentelemetry/exporter/otlp' require 'opentelemetry/instrumentation/all' OpenTelemetry::SDK.configure do |c| c.service_name = "my-sample-app" c.service_version = "vX.Y.Z" c.resource = OpenTelemetry::SDK::Resources::Resource.create( OpenTelemetry::SemanticConventions::Resource::DEPLOYMENT_ENVIRONMENT => Rails.env.to_s, OpenTelemetry::SemanticConventions::Resource::HOST_NAME => Socket.gethostname ) # exporterの設定 exporter = OpenTelemetry::Exporter::OTLP::Exporter.new( endpoint: "https://otlp-vaxila.mackerelio.com/v1/traces", headers: { "Accept" => "*/*", "Mackerel-Api-Key" => ENV["MACKEREL_APIKEY"] } ) # exporter = OpenTelemetry::SDK::Trace::Export::ConsoleSpanExporter.new c.add_span_processor( OpenTelemetry::SDK::Trace::Export::BatchSpanProcessor.new(exporter) ) # c.use_all を使用すると使用するGemが自動で決定されます。 c.use_all # c.use(...) を使用して計装対象を明示的に指定することもできます。 # c.use('OpenTelemetry::Instrumentation::ActiveRecord') # c.use('OpenTelemetry::Instrumentation::Mysql2') # c.use('OpenTelemetry::Instrumentation::Rails') # ... end
service_nameはトレースのサービス名(service.name属性の値)になります。service_versionにはバージョン情報を記載できます(任意)。resourceにはOpenTelemetryのセマンティック規約に基づいた属性を指定できます。トレースの送信元を詳細に識別できるようになります(任意)。DEPLOYMENT_ENVIRONMENT:デプロイ環境(development、staging、productionなど)を指定します。この例ではRailsの環境名(Rails.env)を使用しています。HOST_NAME:アプリケーションが動作しているホスト名を指定します。この例ではSocket.gethostnameでホスト名を自動取得しています。- その他の属性についてはOpenTelemetry::SemanticConventions::Resourceをご確認ください。
exporterendpointはトレースの送信先の指定です。- Mackerelに直接送信する場合は
https://otlp-vaxila.mackerelio.com/v1/tracesを指定します。 - Collectorを利用して送信する場合は
http://<Collectorのアドレス:ポート>/v1/tracesを指定します。
- Mackerelに直接送信する場合は
${MACKEREL_APIKEY}はMackerelのAPIキーの指定です。APIキーの一覧から、Write権限のあるAPIキーをアプリケーションが動作するシステム内の環境変数に定義してください。- 環境変数ではなくAPIキーを直接記述しても動作します。
ConsoleSpanExporterを指定するとトレースが標準出力に出力されます。
3. エラーの捕捉(任意)
Mackerelはエラーをトラッキングできますが、RubyのOpenTelemetryは初期状態ではエラー内容を送信しません。
エラー内容を送信するには、以下のどちらかの方法でエラーを捕捉し、スパンに記録する必要があります。
rescue_fromでエラーを捕捉する- Middlewareでエラーを捕捉する
例えば、rescue_fromを使用する場合は以下のようにします。
class ApplicationController < ActionController::API rescue_from Exception do |e| OpenTelemetry::Trace.current_span.record_exception(e) raise e end end
トレースを確認する
送信されたトレースは以下の手順で確認できます。
- メニューの「APM」を選択
- サービス名を選択

- 「トレース」タブを選択

- トレース一覧からトレースを選択すると詳細が確認できます

以上、RubyアプリケーションにOpenTelemetryを導入して、Mackerelへトレースを送信する方法のご紹介でした。