APM(Application Performance Monitoring)の基本的な概念と、Mackerel APMを導入することで得られる価値について説明します。
目次
- APM(Application Performance Monitoring)とは
- APMが必要な理由
- Mackerel APMで得られる価値
- MackerelのAPMを利用するためには
- 次のステップ
APM(Application Performance Monitoring)とは
APMは、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題の発見と解決を支援する手法です。
APMを利用すると、次のようなことが可能になります。
- パフォーマンスのボトルネックを特定
- エラー発生時の迅速な原因究明
- ユーザー体験に影響する問題の早期発見
APMが必要な理由
インフラ監視だけでは不足しがちなこと
従来のインフラ監視では、サーバーのCPU使用率やメモリ使用量、ディスクI/Oなどのリソース状況を把握できます。しかし、アプリケーション内部で何が起きているかまでは分かりません。
例えば、次のような状況があります。
- ユーザーから「遅い」「エラーになった」という報告を受けても、インフラの監視だけでは実際のユーザー体験と結びつけて原因を特定しづらい
- ログにエラーが記録されていても、どのリクエストがどのような処理フローでエラーになったのか追跡するのは困難
- レスポンスが遅くなっているとき、それがデータベースの問題なのか、外部APIの問題なのか、アプリケーションコードの問題なのかを切り分けるのに時間がかかる
- 複数のマイクロサービスにまたがるリクエストで、どのサービスのどの処理がボトルネックになっているのか把握しづらい
APMが解決すること
APMを導入すると、これらの問題を解決できます。
エラーの原因調査
エラーが発生したリクエストのトレース(処理の流れ)を確認することで、リクエスト中のどの処理でどのようなエラーが発生したのかを素早く特定できます。スタックトレースやエラーメッセージも合わせて記録されるため、原因究明が容易になります。
パフォーマンス低下の分析
各処理にかかった時間を可視化することで、どこがボトルネックになっているのか一目で分かります。データベースクエリが遅いのか、外部APIの呼び出しに時間がかかっているのか、あるいはアプリケーションコード自体に問題があるのかを判断できます。
サービスをまたぐ流れの追跡
マイクロサービスアーキテクチャでは、1つのリクエストが複数のサービスを経由します。APMを使うと、リクエストがどのサービスをどの順序で経由したか、各サービスでどれだけ時間がかかったかを追跡できます。
Mackerel APMで得られる価値
インフラのメトリックとアプリケーションの分析を一つのツールで
Mackerelは従来からサーバーやコンテナの監視(インフラ監視)を提供してきました。APMも併用することで、インフラとアプリケーションの両方を同じ監視ツールで一元的に把握できます。
- APMでAPIのレスポンス遅延を検知
- トレースを確認し、どの処理に時間がかかっているかを特定
- トレースから原因を分析できない場合にホストのCPU使用率やメモリ使用率を確認
- インフラが原因なのか、アプリケーションコードが原因なのかを切り分け
これにより、問題の切り分けにかかる時間を短縮できます。
MackerelのAPMで実現できること
Mackerel APMでは、次のような統計や事実を観察できます。
- トレースを元にした各種サマリー:REDメソッドのメトリック(リクエスト数、エラー率、レイテンシー)を自動的に可視化
- HTTPリクエストの統計情報:エンドポイントごとのリクエスト数、レイテンシー(平均、最大、最小、P95など)、エラー率など
- データベースクエリの統計情報:実行回数、実行時間(平均、最大、最小、P95など)、遅いクエリの特定
- トレースの詳細情報:個々のリクエストがどのような処理を経て、どれくらい時間がかかったかの詳細な記録
- エラーの詳細情報:エラーが発生したトレースを自動的にグループ化し、課題として管理



業界標準の技術を採用
MackerelのAPMは、テレメトリーデータのためのフレームワークであるOpenTelemetryに対応しています。OpenTelemetryには以下の特徴があります。
- さまざまなベンダーやツールがサポートする統一的な標準規格
- トレース、メトリック、ログなど主要なシグナルを統一的に扱える
- Go、Java、PHP、Ruby、Python、JavaScript、C#/.NETなど主要な言語に対応
- 各言語の主要なフレームワークやライブラリ向けの自動計装が充実
- Ruby on Rails、Spring Boot、Laravel、Flask など
MackerelがOpenTelemetryに対応していることで、以下のメリットがあります。
- 豊富なライブラリ:OpenTelemetryコミュニティが提供する各種ライブラリやツールを活用できます
- エコシステムの恩恵:OpenTelemetryの進化に合わせて、新しい機能やサポート言語を利用できます
- ベンダーロックインの回避:将来的に他のオブザーバビリティツールに移行する場合も、計装コードをそのまま利用できます
MackerelのAPMを利用するためには
計装をする
MackerelのAPMを利用するには、アプリケーションに計装(instrumentation)が必要です。計装とは、アプリケーションからトレースデータなどのテレメトリーシグナルを送出する作業のことです。
計装の手段
計装の方法には以下のようなものがあります。
- ゼロコード計装:アプリケーションコードを変更せずに、実行時の設定だけで計装できます
- ライブラリ計装(自動計装):わずかな設定コードを追加するだけで、自動的にトレースを取得できます
- 手動計装:より詳細な情報を取得したい場合に、必要な箇所にコードを追加します
まずはゼロコード計装から始めて、特定の処理の内容をより詳細に追いたくなった場合などに、自動計装や手動計装を追加していくことをお勧めします。
Mackerelには導入サポートの体制があります
Mackerel APMの導入に際してつまずいた場合も、Mackerelのサポートチームがお手伝いします。技術的な質問や導入に関する相談はお気軽にお問い合わせください。
次のステップ
APMの基本と価値について理解できたら、次は仕組みを学びましょう。
- APMの仕組みを理解する - トレース、スパン、データフローなどの基本概念
すぐに試したい方は、言語別のガイドを参照してください。