いつもMackerelをご利用いただきありがとうございます。Mackerelプロデューサーのid:wtatsuruです。
この記事では、今後Mackerelが開発するアプリケーションパフォーマンスモニタリングの開発予定と使い方について紹介いたします。
- アプリケーションパフォーマンスモニタリングの開発と今後の予定
- Mackerel APMに込めた思い
- Mackerelのトレーシング機能の利用方法
- 使ってみた感想やフィードバックをお聞かせください!
- 2/13(木)わかった気になる分散トレーシング - OpenTelemetryでトレーシングに入門するハンズオン!
アプリケーションパフォーマンスモニタリングの開発と今後の予定
Mackerelは、2025年前半にアプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)の機能をリリースします。APM機能は、アプリケーションの挙動に注目して性能やエラーの状況を把握し、ボトルネックや問題の発見を助けるものです。
Mackerelがオブザーバビリティ領域の開発に力を入れていくことは、以前のエントリで紹介させていただきました。APMの開発はこの方針の一環となります。
この機能をいち早く体験していただくため、APMを実現するためのトレーシング機能を、事前申し込み不要で提供開始いたします。月500万スパンまでの投稿が無料でどなたでも利用いただけるものとなりますので、ぜひ検証などにご利用ください。本機能はベータ版となりますので、安定性の保証はなく、機能は破壊的に変更・削除される可能性があることにはご了承ください。
トレーシング機能や利用方法についてご不明な点があれば、お問い合わせフォームまたはMackerel Webコンソール右上の「サポートチームへ連絡」からご質問ください(なお、お問い合わせへの回答は、一次返答を含めお時間をいただくことがあります)。
APMのリリースに向けて、今後アプリケーションを観測する機能開発を加速していきます。具体的には以下のようなものを開発・検討しています。ユーザーの皆さまのフィードバックをもとに開発を進めて参りますので、ぜひお持ちの課題や必要な機能などのフィードバックをお寄せください。
- トレースの情報からデータベースのパフォーマンスに関する情報を抽出してビジュアライズできる機能(リリース済み)
- HTTPサーバーのルートごとのエラー・レイテンシーといった統計情報を表示する機能
- アプリケーションの状態を一目で把握し、調査に役立てる管理画面
オブザーバビリティの実装において課題になりやすい料金体系についても、使いやすいものとなるよう検討しています。APM機能では投稿したデータ量に応じた課金体系のみとなり、ホスト単位での課金は発生しません。従来どおりユーザー数は無制限ですので、チーム全体で情報共有や改善に取り組みやすいものとなります。
料金の詳細や具体的な価格については、正式リリースの目処が立ちましたら改めてご紹介いたします。
Mackerel APMに込めた思い
Mackerelはシステムの運用・監視を行う人のために、はてなのノウハウを詰め込んだサービスとして誕生しました。手軽に導入できて、ひとりでも監視を始められるイージーさと、システムの変化とともにチームで監視を育てていける奥深さにこだわっています。私たちはこの体験を、現代的なアプリケーションの開発にまで広げて提供していきます。
APM機能は、アプリケーションの性能やエラーの状況を把握し、その原因特定と解決を素早く行えることを目指しています。従来のメトリック情報やアラートから原因を推測して調査する手探りの手法ではなく、たとえばログの文字列監視など間接的に実現していた監視がトレース情報を用いたより直接的な観測に変わることで、調査や障害対応がより迅速になり、システムの信頼性が高まります。これらの活動をサーバー監視と同じMackerelというプラットフォーム上で行うことで、チームで同じ問題に取り組む文化を作れます。
Mackerelのトレーシング機能の利用方法
本日より、Mackerelのサイドメニューにある「トレース」から、申し込み不要ですぐにトレーシング機能を体験できます。

ご利用中のアプリケーション、サービス、またはOpenTelemetry Collectorから、OpenTelemetryに準拠したトレースシグナルをMackerelのAPIサーバーへ送ると、Mackerelの「トレース」画面でトレースやスパンの内容を確認できます。


たとえば、OpenTelemetry Collectorをご利用の場合、Mackerelにトレースシグナルを送信するための最小限の設定は以下のとおりです。環境変数MACKEREL_APIKEY
には、トレースシグナルの送信先となるMackerelオーガニゼーションのAPIキーを指定してください。
receivers: otlp: protocols: http: processors: batch: send_batch_size: 5000 send_batch_max_size: 5000 exporters: otlphttp/vaxila: endpoint: "https://otlp-vaxila.mackerelio.com" headers: Accept: "*/*" "Mackerel-Api-Key": ${env:MACKEREL_APIKEY} service: pipelines: traces: receivers: [otlp] processors: [batch] exporters: [otlphttp/vaxila]
設定の詳細については、以下の記事をご覧ください。
また、OpenTelemetryのライブラリで計装したアプリケーションから直接Mackerelにトレースシグナルを送信することも可能です。計装の具体例を以下の記事で紹介しています。
なお、Mackerelのトレースシグナルの送信先エンドポイントhttps://otlp-vaxila.mackerelio.com
は、インターネット側に設置されています。この記事で紹介しているトレーシング機能はMakerel for KCPSのユーザーさまもご利用いただけますが、閉域接続向けのエンドポイントは用意しておりませんのでご注意ください。
トレーシング機能にはいくつもの便利な要素がありますが、データベースクエリの観測は特に実用性が高いでしょう。
データベースへのクエリ発行箇所に対し、自動または手動で計装することで、クエリ情報を含むスパンが生成されます。Mackerelのサイドメニューから「トレース」→「データベース」と進むと開く「データベースパフォーマンス」画面では、選択期間中に実行されたクエリについて、合計実行時間・平均実行時間・実行回数を一覧形式で確認できます。
この画面を活用することで、パフォーマンスを低下させる遅いクエリや、頻繁に呼び出されていて改善が必要なクエリを簡単に特定できます。

使ってみた感想やフィードバックをお聞かせください!
開発チームでは、皆さまからのご意見をもとに、機能改善や正式リリースに向けた開発を進めています。
「こんな機能があれば試してみたい」「この機能があれば本番運用で活用できる」など、実際に現場でオブザーバビリティ向上に取り組まれている方々からの具体的なご意見は、1つひとつ丁寧に検討し、可能な限り機能に反映していきます。
ぜひ、トレーシング機能を使った感想やご意見をお聞かせください。 皆さまからの貴重なフィードバックをお待ちしております!
また、APM機能についてもっと詳しい話を聞いてみたい、技術的な支援がほしい、デモやハンズオンをしてほしいなどのご要望のある方も、フォームより希望するものをお選びください。
機能の利用方法、不具合の調査依頼、その他テクニカルサポートに関するお問い合わせにつきましては、Mackerel Webコンソール右上にございます「サポートチームへ連絡」よりご連絡ください。
2/13(木)わかった気になる分散トレーシング - OpenTelemetryでトレーシングに入門するハンズオン!
トレーシング機能を試してみたいものの、はじめ方や活用の仕方がわからないという方向けに、はてな東京オフィスにてハンズオンを開催します。
💁 こんな人におすすめのハンズオンです
- Mackerelを使っているが分散トレーシング機能を使ったことがない
- 分散トレーシングが普段の業務にどう役立つか知りたい
- OpenTelemetryを触ってみたい
📝 ハンズオンを通して学べること
- トレーシングやOpenTelemetryの基礎がわかる
- Mackerelの分散トレーシング機能を実際に触ることでトレーシングへの理解が深まり、問題発見や解決の糸口を見つけられるようになる
お申し込みは以下のイベントページをご覧ください。