オブザーバビリティとは?——監視との違いと実践の第一歩をわかりやすく解説

「監視はしているのにオブザーバビリティが必要なのか?」——オブザーバビリティとは何か、監視との違い、主要なシグナルの役割、そして実践の第一歩まで基本からわかりやすく解説します。

目次

「オブザーバビリティ」って、監視と何が違うの?

「オブザーバビリティ」「可観測性」という言葉を最近よく目にするが、自分たちの仕事にどう関係するのかピンと来ない——そんな方も多いのではないでしょうか。

監視ツールはすでに使っているのに、さらに「オブザーバビリティ」が必要なのか?監視と何が違うのか?この記事ではそうした疑問に答えながら、以下のポイントをまとめて解説していきます。

  • オブザーバビリティの定義と「監視」との違い
  • メトリック・ログ・トレースという主要なシグナルの役割
  • クラウドネイティブ・マイクロサービス時代にオブザーバビリティが注目される背景
  • SRE・DevOpsの現場をはじめ、インフラ運用・監視の現場でも実践できる第一歩とポイント

オブザーバビリティとは何か

オブザーバビリティ(可観測性)とは、システムの外部出力から、システムの内部状態を理解できる能力のことです。

もともとは制御理論に由来する概念で、ITの文脈では「どんな未知の問題にも、データをもとに答えを探せる状態」を指します。

ここで重要なのは、オブザーバビリティはツールや製品の名前ではなく、システムの特性を指す言葉だという点です。「オブザーバビリティを高める」とは、特定のツールを導入することではなく、システムの内部状態をより深く・柔軟に把握できる状態にしていくことを意味します。

なぜオブザーバビリティが注目されるのか

オブザーバビリティが注目されるようになった背景には、システムを取り巻く環境の変化があります。

  • システムの複雑化 マイクロサービスアーキテクチャやクラウドネイティブな構成の普及により、障害の原因が単一箇所に収まらないケースが増えてきました。複数のサービスやコンポーネントが絡み合う環境では、個々のサーバーを監視するだけでは全体像が把握しきれない場面が出てきます。

  • 「未知の障害」への対応 事前に想定できなかった複合的な障害が増え、あらかじめ決めたしきい値や監視ルールだけでは検知・原因特定が難しくなることがあります。SREやDevOpsの現場では、障害対応の速度と品質が直接サービスの信頼性に影響するため、原因を素早く深掘りできる仕組みがより重要になっています。

  • 開発サイクルの加速 素早く・頻度高く価値を届けることが当たり前になってきた現代では、「何かを変えたら何かが起きた」という相関を素早く把握したい場面も増えます。リリースのたびに影響を追いかける必要が出てくるからです。

ただし、オブザーバビリティがすべてのシステムに必要なわけではありません。小規模でシンプルなシステムでは、従来の監視で十分な場合もあります。自分たちのシステムの複雑さや課題に合わせて判断することが大切です。

オブザーバビリティを支える主要なシグナル

オブザーバビリティの文脈でよく登場する「シグナル」という言葉は、システムの状態や振る舞いを把握するために収集するデータの種類のことを指します。主要なシグナルには、メトリック・ログ・トレースなどがあります。

  • メトリック CPU使用率・メモリ・レスポンスタイムなどの数値データです。時系列で傾向を把握したり、しきい値を超えたときにアラートを出すのに向いています。すでに多くの環境で収集されているシグナルです。

  • ログ アプリケーションやシステムが出力するイベントの記録です。詳細な情報を含むため、問題が起きたときの状況を細かく追うことができます。一方で、データ量が多くなりがちで、必要な情報を探し出す手間がかかることもあります。

  • トレース 1つのリクエストがシステム内をどのように処理されたかを記録したものです。どのコンポーネントでどれだけ時間がかかったかを可視化できるため、ボトルネックや障害箇所の特定に強みを発揮します。

3つのシグナルを組み合わせることで、「アラートが鳴った(メトリック)→ そのタイミングのログを確認 → 問題のあるリクエストのトレースを追う」という調査の流れが作りやすくなります。それぞれのシグナルが補い合いながら、問題の全体像を浮かび上がらせてくれます。

分散トレーシングの仕組みや活用方法については、「分散トレーシングとは」もあわせてご覧ください。

監視との違い・関係

「オブザーバビリティ」という言葉を聞いて、「今やっている監視と何が違うの?」と感じた方もいるかもしれません。

監視は「あらかじめ決めた指標やしきい値を継続的にチェックし、異常を通知する仕組み」です。既知の問題を素早く検知することを得意としています。

一方、オブザーバビリティは「データを柔軟に問い合わせて、未知の問題の原因も探れる状態にする」という考え方です。事前に想定していなかった問題に対しても、データをもとに答えを探せることが重要です。

よく整理されるのは「監視はオブザーバビリティの一部」という関係性です。オブザーバビリティを高めることで、より効果的な監視ができるようになります。既存の監視を捨てる必要はなく、データの幅と深さを広げるイメージで考えると理解しやすいでしょう。

オブザーバビリティを高めるための第一歩

まずは主要なシグナルを揃えることから始めてみましょう。

多くの場合、メトリックとログはすでに収集しているはずです。そこにトレースを加えることで、「アラートは鳴っているが原因がわからない」という状況を一段階改善できるようになります。

シグナルを収集する標準的な手段として、OpenTelemetryがあります。ベンダーに依存しないオープンな標準であり、一度計装すれば後からバックエンドのツールを差し替えることもできます。OpenTelemetryについては「OpenTelemetryとは」で詳しく解説しています。

収集したシグナルを相互に関連付けて見ることも、オブザーバビリティを高めるうえで重要な考え方です。たとえば「アラートのタイムスタンプ周辺のトレースを確認する」といった使い方が一例として挙げられます。ツールによってこの相関分析のしやすさは異なりますが、シグナルに共通のコンテキスト(トレースIDなど)を埋め込んでおくことが土台になります。

オブザーバビリティ導入・定着のポイント

オブザーバビリティに取り組む際に意識しておきたいポイントをまとめます。

  • まず「何を知りたいか」を明確にする 目的なくシグナルを収集し始めると、データの山になりがちです。「障害時の原因特定を速くしたい」「どのAPIが遅いか把握したい」など、具体的な問いから始めると整理しやすくなります。

  • 既存の資産を活かす すでにメトリックやログを収集しているなら、それを捨てる必要はありません。トレースを加えることで、既存のデータとあわせた深い分析ができるようになります。

  • 計装を標準化しておく OpenTelemetryを使うと、計装の方法を統一できます。後からバックエンドのツールを変えることになっても、計装をやり直す手間が少なくて済みます。

  • 一度に全部揃えようとしない まず1つのサービス・1つのシグナルから始めて、効果を確認しながら広げていくのが現実的です。完璧な体制を目指して一気に進めるより、小さく始めて段階的に育てていく方が定着しやすくなります。

  • ツールだけでなく「データをもとに議論する文化」を育てる オブザーバビリティはツールを導入して終わりではありません。取得したデータをチームで共有し、障害対応や意思決定の場で活用する文化があってはじめて定着します。「何かあればデータを見る」という習慣がチームに根付くことが、長期的な効果につながります。特に組織としてオブザーバビリティに取り組む場合、ツール選定と同じくらいこの文化づくりが重要です。

Mackerelで実現する、インフラ監視から繋がるオブザーバビリティとAPM

Mackerelは、サーバーやインフラのメトリック監視・アラート通知に加え、APM(アプリケーションパフォーマンス管理) によるトレース機能を提供しています。

既存のインフラ監視基盤にAPMを加えることで、「インフラの異常を検知する」だけでなく「アプリケーション内のどこで問題が起きているか」まで追いかけられる体制を、一つのプラットフォームで整えることができます。

特にトレース機能では、リクエストの処理経路を可視化し、ボトルネックの特定に役立てることができます。OpenTelemetry形式でのシグナル送信に対応しているため、既存のOpenTelemetry計装をそのまま活用して導入することも可能です。

Mackerelは無料トライアルでお試しいただけます。ぜひオブザーバビリティの実践をMackerelで体験してみてください。

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Mackerelは、サーバーやアプリケーションの状態を可視化し、システム全体の状況を把握できるサービスです。 トライアルでは、メトリックやアラート、ダッシュボードなどの機能を実際の画面で確認しながら、Mackerelによる監視や可視化を体験できます。
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